OpenAI社長証言、日記で強欲性浮上
2026年5月4日、米国カリフォルニア州で開かれたOpenAIをめぐるイーロン・マスク氏とサム・アルトマン氏の訴訟で、グレッグ・ブロックマン社長の証言が注目された。ブロックマン氏は反対尋問で日記の内容を巡り激しい追及を受け、その強欲性と日和見主義が浮き彫りになった。この裁判はAI業界のガバナンスと企業統治のあり方を問う重要な争点となっており、市場の信頼性に直結する。
ブロックマン氏は弁護士スティーブン・モロ氏の尋問に対し、細かな言葉の定義を巡って衒学的な訂正を行うなど、高校のディベートクラブのような態度を見せた。特に問題視されたのは、ブロックマン氏のコンピュータから取得された日記である。2017年頃の記録には、「非営利団体を盗むのは間違っている」としながらも、「営利企業に切り替えるべきかもしれません」といった矛盾した記述が含まれていた。これにより、ブロックマン氏の動機が純粋なミッションではなく、個人利益追求にあった可能性が示唆された。
マスク氏の弁護士陣は、ブロックマン氏を貪欲な人間として描き出した。ブロックマン氏が保有するOpenAIの株式価値は約300億ドルに上る。モロ氏は、10億ドルで十分ならなぜ残りを寄付しなかったのかと問いただした。ブロックマン氏は市場の需給原理を理由に防御したが、日記に記された「10億ドルまで行くには何が必要か」という問いかけは、その金銭的野心を裏付ける有力な証拠として機能した。
この訴訟は、OpenAIが非営利団体から営利企業へ移行する過程での透明性の欠如を浮き彫りにした。日本のAI企業や投資家にとっても、創業者間の対立や内部文書の開示は、企業価値評価におけるリスク要因となる。特に、ガバナンスの不備が招く法的リスクをどう管理するかが、今後の日本企業の海外展開やパートナーシップにおいて重要課題となるだろう。
今後、ブロックマン氏の直接尋問が続き、日記に記された出来事の詳細が明らかになる見込みだ。裁判の結果は、OpenAIの経営陣の命運を分けるだけでなく、生成AI業界全体の信頼性基準を再定義する可能性を秘めている。関係者は、法廷での証言内容に注視しつつ、企業統治の強化に向けた対策を講じる必要がある。